ドラマ版はそれなりに良くできている。話もそれなりに上手くまとめているし、吉高ちゃん達の演技は悪くない。


それでも原作を読んで欲しい。なぜなら、本作の最大の魅力、「現代のホラー」とも表される怖さが思い切り損なわれているからだ。

では、一体どのような恐怖が損なわれているのだろうか。 



原作の倫子はもっと崖っぷち
ドラマの倫子もともと売れてない脚本家という設定だが、原作だと微妙に違う。
そこそこ仕事はあるが、伸び悩んでいる脚本家なのだ。そして、原作通りに、仕事はなくなっていく。

もともと売れてない人がさらに売れなくなるより、元々、そこそこあった仕事がなくなっていくことの方がより恐ろしいのではないだろうか。
0がマイナスになるよりも、10あったものがマイナスになる方がショックは大きい。

仕事でももっと追い詰められているからこそ、倫子が直面する恐怖が原作だとより伝わってくるのだ。


■成功者を側で見せ付けられる恐怖
ドラマ版では、倫子は、ADのマミちゃんに好きな男を奪われるのだが原作だとちょっと違う。

原作だと、マミちゃんは倫子の脚本業のアシスタントという、より身近な役割をはなしている。
身近で、しかもアシスタントとしてかわいがっている女の子に幸せが奪われていくという事実は、倫子が直面する恐怖をより克明にする。
マミちゃんは、倫子と違ってタラレバ言わず前に進み、倫子にはない柔軟性を持って、倫子が手に入れられないものをどんどん手にしていく。

しかも、マミちゃんは、脚本家としても才気を発揮しだし、仕事でも倫子を脅かしてくるのだ。
これは、背筋が凍る。ベテランでも、若手でもない中途半端なお年頃であるアラサーにとって、この恐怖は真に迫る。

男達のクズっぷりとそれでも浮気・不倫から逃れることができない恐怖
香の不倫相手の亮は、よりクズだ。
妊娠疑惑が持ち上がった時、原作だと、「あれはつけてたの?」と言う倫子に対し、香りは「バンドマンはつけない!」という。

おいいいいいいいい!!!!! なんというクズ! 子どもつくって責任持てない相手なんだから、せめてそこらへんはちゃんとしろと思う。
それでも香は、彼との居心地の良さから抜け切れられてない

小雪の不倫相手について言えば、ドラマだとそれなりに奥さんに配慮しているように見えるが、もっと無配慮だ。そんなロクでもない男なのに、小雪はこの関係から抜け出せない。

そういう、わかっちゃいるけどやめられない、人間の陥ってしまう過ちが克明に描かれているのが、原作版、東京タラレバ娘なのだ!

東村アキコによる相談コーナー
巻末の最後に、読者からの相談についてタラとレバが相談に答えるのだが、この相談がキッレキレなのだ。

バンドの追っかけをやめられないという読者に対しては、タラとレバは「お前は一生、バンドマンの養分として生きるつもりか!?」と言い放つ。

相談に対する東村アキコの回答は、倫子に対するkeyの毒舌の比ではない。この相談により、倫子達が直面する以外の恐怖も垣間見えてくる。

というわけで、そういった恐怖を味わえる原作はとてもおもしろいので、ぜひ!!!

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