【感想】真田丸~第40週「幸村」~【感想】真田丸~第41週「入城」~

2016年10月12日

【レヴュー】「高慢と偏見とゾンビ」~配給会社をただただ賞賛したくなる映画~

現在、放映中の映画「高慢と偏見とゾンビ」を観てきた。
ざっくりどんな映画かというと、イギリスでは誰もが知る文学作品「高慢と偏見」の世界に、もしもゾンビが現れたらどうなるかを描いた作品である。

高慢と偏見といえば、数々の映像作品を産んだ、イギリスの国民的文学作品である。それにゾンビが出て来る世界というのは、日本で言うと夏目漱石や芥川龍之介の作品にゾンビが出てくるようなものである。

そんなぶっ飛んだ話を映画にした制作陣も凄いが、これを日本で放映しようと決めた配給会社がどうかしている!
この記事では、そんな配給会社を褒め称えたいと思う。
 



「高慢と偏見」とは何か
イギリスの文学作家ジェーン・オースティンの代表作である。

栄華を極めて19世紀のイギリス。貴族の五人姉妹の次女エリザベスを主軸にお話は進む。
彼女達の家は、貴族といっても貧乏。加えて男の後継者がいないので、父親が死んでしまえば、誰も財産を受け継ぐことができず、このままでは食いっぱぐれてしまうギリギリの状態だ。

そういうわけで、なんとしても嫁に出ねばならないが、片田舎で出会いがない。そんな彼女たちの家の近所に名門&金持ち貴族達が住居を構える。

エリザベスの姉は、その貴族に恋をし、互いに惹かれ合っていく。
エリザベスもまた、そのうちの1人の貴族、ダーシーに出会う。

順調に思われた姉の恋であったが、突如、彼らは引っ越すことになり離れ離れになり連絡も途絶えてしまう。
そんな折にエリザベスは、ダーシーに再開し、なぜ彼らが姉のもとを去ったのかという事実を知ることとなる。

……と言ったように、ゾンビと無縁の話だ。

■「高慢と偏見とゾンビ」はと言えば……
だが、本作は、驚くことに、プロットはほぼ、本家と同じであり、原作へのリスペクトが半端ではない。
本家との違うのは、そこがゾンビがいる世界であるという点だ。そのゾンビとの戦いが、本作の展開を劇的なものにする。

元ネタと異なり、姉妹たちは、貴族の教養の代わりに、中国で武道を学び恋とともにゾンビとの戦いにも精を出す。
ゾンビの特殊メイクもしっかりと気持ち悪く、血や傷の表現もゾンビマニアも納得の出来だと言える。
ゾンビの数も多く、サクサク倒されていくのは爽快だ。ゾンビを倒す方法も銃撃、格闘、刃物といった多彩なバリエーションが発揮されている。

また、日本のコンテンツに対するリスペクトも感じられるシーンも多い。ゾンビを倒すのに、日本刀が大活躍をするし、小道具には、日本語で書かれた図書も登場するし、突如、日本語のセリフが聞こえてくることもある。それらはどれも、キルビル的な間違った日本像なのだが、それゆえに一周回って面白い。
殺陣の方は、意外と観られる。それなりに訓練したのだろう。

本作は、元ネタに対するリスペクトを忘れずに、ゾンビモノやアクション映画のおもしろいところを盛り込んだ良作である。
だが、それほどクオリティーであっても、本作を日本で公開するのには勇気がいったことだろう。

■日本ではニッチすぎる……
日本では、題材がマニアアックすぎるのだ。パロディーとはそもそも、元ネタが理解されて初めて笑えるものだ。
だが、日本にける「高慢と偏見」の知名度はイマイチであるため、そのおもしろさが伝わる人はそれほど多くない。

というわけで、日本での集客にはそれほど期待できない作品だ。

映画の価値=商売を度外視する心意気
ヒットする可能性なんてほぼないのに、上映権を買ってくる配給会社にはホントに拍手だ。
おそらく、この映画に惚れ込んだとんでもない大人が押し切ったのだろう。

自分がおもしろいと思ったものを世の中に問う勇気を持つ、猛者がこの映画に出会わせてくれたことを思うと感謝しかない。

おもしろいと思ったからみんなに観て欲しいという、シンプルな感情を大事にしていいんだと感じさせてくれる映画である。

劇場でその勇気を感じ取って欲しい。

その他、洋画の感想はこちらから。

これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。



このエントリーをはてなブックマークに追加
sonykichi at 13:17│Comments(0)TrackBack(0)映画 | 洋画

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
【感想】真田丸~第40週「幸村」~【感想】真田丸~第41週「入城」~