2016年05月22日
【レヴュー】映画「スポットライト~世紀のスクープ~」
これほど衝撃が止まらない映画は見たことがない。
神父たちの性犯罪を教会、ローマカトリック教会が組織的に隠蔽しているという
神父たちの性犯罪を教会、ローマカトリック教会が組織的に隠蔽しているという
欧米社会を大きく揺りがす事実に驚かずにはいられない。
あらすじは知ってみていても、胸糞が悪くなる事件が立て続けに起きている事実に
衝撃を受けずにはいられない。
あらすじは知ってみていても、胸糞が悪くなる事件が立て続けに起きている事実に
衝撃を受けずにはいられない。
■あらすじ
アメリカの伝統が色濃く残る街、ボストンの新聞局グローブに新任の編集局長が赴任してくる。
彼は、グローブにて一度と上げられた記事、神父による少年・少女に対するレイプに対して、
更なる取材を試みるべきだと主張し、社内の報道チーム「スポットライト」に事件を調べるように指示する。
最初は、乗り気ではなかったチームの面々であるが、
被害者の原告を務める弁護士や、被害者団体のリーダー、
この問題に長年取り組む精神科医たちから様々な話を聞くうちに、
事件の重大さを知り、必死に取り組むようになっていく。
やがて、そのレイプ事件は、氷山の一角にすぎず、何十年にもわたり同様の事件が、
カトリック教会によって隠蔽されてきたというショッキングな事実を突き止める。
チームは、個々の事件ではなく、教会の隠蔽体質そのものを告発すべくさらに取材を続けていく。
■みどころ
これでもかというほどにショッキングな事実を突き付ける容赦のなさが素晴らしい。
例えば、
神父による虐待は、体だけではなく信仰をも阻害しその心理的ショックから命を絶つ者がいること、
多くの事件が、教会が被害者家族に対して少額の賠償金で和解させ事件を公開しないようにしていること、
教会の権力が、司法、行政、報道、そして報道までに及んでいること、
何より、これらの事実は15年前のことであり、日本で全く知られていなかったことである。
しかもこの映画は、ドキュメンタリーの様にとっているのではなく、
あくまでのミステリーとして非常にうまくつくっていることが素晴らしい。
一つの小さな事件が、欧米社会全体を揺るがす様な事件に繋がってい様は、
ノンフィクションであれば、痛快である。
だが、事実に基づいて作られた今作において、観客がその様な陰謀を知ったとき、
感じるのは胸糞の悪さである。
そういうわけで、映画というメディアで描かれると
これほどまでに事実は衝撃与えられるんだということを思い知りました。
■ ターゲット
アメリカ社会やカトリック社会に興味がある人は、
凄く見ごたえがあると思う。
文系の大学生の方は必見だ。
映画から受ける衝撃は、きっと日々の研究へのモチベーションをあげると思う。
また、マスコミについて考えたい人もぜひ見てほしい。
彼らの姿をみれば、マスコミのあるべき姿、われわれが望む姿が見ることができる。
この映画の救いは、この事件を必死に追った記者がいるという点に尽きるのです。
この映画とマスコミの関係については、詳しく書いている記事を見つけましたので、
興味のあるかたは是非。
■残念な点
あまりないですが、教会のシステムだったり
アメリカ社会に対する素養がないとちょっとついていけないところがあります。
願わくば、あまり描かれなかった編集局長の心理描写があればよりよかったです。
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